やがて春が来るまでの、僕らの話。




「、……」



怖いのか、ハナエちゃんが俺の服を握ったまま後ろに立った。

先頭を歩く俺は、もう一度息を呑んで電気を点ける。


パチ



「、」

「、…」



灯りが点いた部屋の中に見えたのは、大量のビールの缶。



「…カッシー?」

「、」



カッシーの姿を捜すため、足をゆっくり部屋の中へと進ませる。

怖いけど、早く見つけなきゃ本当に手遅れになりかねないから。



「……あ」

「、…」

「、おい、カッシー!!」



缶が転がる床の上に、倒れているカッシーがいた。

服を掴まれていることも忘れて、勢い任せにその場所に駆けつける。



「おい、……おい!!」



呼びかけても揺さぶっても、全然、ピクリともしない。


嘘だろ……


「律くん…」

「、」


カッシーの顔に、静かに耳を寄せてみた。


「息、……してる」



だけどじゃあ、どうして起きない?

外傷は見当たらないし、息だってしてるのに。