やがて春が来るまでの、僕らの話。









ドンドン、ドンドン!!!




「カッシー!おい、カッシー!!」



何度もドアを叩いて、何度も叫んだ。

何度も何度も、本当に何度も……


「カッシー、開けろって!!」


ドンドンドンドン!!!


近所迷惑も考えられないほど、必死だった。


カッシーが死ぬ。

それを現実にしてしまったとき、残されたあとのことを考えたら、俺ももう生きてなんていられないと思うから。



「律くん!」


マンションの階段から上がってきたのは、目を真っ赤にしたハナエちゃんだ。

廊下の窓からは、タクシーが走って行くのが見えた。


彼女は部屋着のまま、財布だけを握ってる。


「ドア、開かないの?」

「うん、管理人さんに連絡して開けてもらうしか、……あ」

「え?」


ガチャって回してみたドアノブが、なんの迷いもなく開いた。

だから二人で、中に入る。

暗くて、電気なんか点いてなくて、なんの音も聞こえない、静かな部屋の中に……



「………」



すげぇ怖い。

まじで怖い。


見つけてしまったらどうしようって。


手遅れだったらどうしようって……



怖くて、足がすくんだ。