やがて春が来るまでの、僕らの話。




スマホをずっと握り締めていたことに気づいて立ち止まったのは、あの日の公園だ。

杉内くんと来たときに子供たちと噴水で遊んだ、あの公園。


立ち止まって見たスマホのディスプレイには、さっき無意識のうちに探していた律くんの名前がまだ表示されたままだった。



「……」



あのまま傍にいたら、律くんにもひどいことを言ってしまいそうだった。

杉内くんだけじゃなくて、律くんまで怒らせてしまいそうだったから。


そうしたら私はもう本当に、自分の人生に絶望してしまう気がした……



「……帰ろ」



帰ろうって思って、画面を消してスマホをしまおうとしたとき。

ブーブーって、手の中のスマホが震えた。


律くんかなって、そう思って見たディスプレイに表示されている名前に、胸がぎゅっと締め付けられる。



『柏木くん』



ディスプレイに、そう表示されている。




「、…」



再会してから初めての、柏木くんからの電話。

こんな日に、こんな状況でって……


普通に会話なんて、出来そうもない。

だから電話には出ないで、スマホをカバンにしまおうとしたら。



「シカトすんなや。」



どうしてか、後ろから声が聞こえてきた……