やがて春が来るまでの、僕らの話。




「……ねぇむっち」

「んー?」


ウインカーを出してハンドルを切るむっちに、聞きたいことがあった。

私の知らない、あれからのこと……



「私が転校したあとの話、聞いてもいい?」

「え、転校したあと?」

「陽菜が亡くなって、私が転校したあとの、柏木くんたちの話し…」

「……」



あのあと2人が、どんな風に高校生活を送っていたのか。

私の知らないあの学校でのことを知っているのは、むっちだけだから。



「聞きたいの?」

「うん、聞きたい」


少しだけ雰囲気が暗くなってしまったけど、それでも私は聞きたかった。


私の知らない、2人のことを……



「私ね、志月くんに聞いたことがあるの」

「……」

「高3の卒業間際に話す機会があって、その時に初めて聞いたんだ。陽菜もハナエもいなくなって、私たちが2年生になってからの志月くんの心境……あの頃どんなことを思っていたのか、初めて聞いた」

「うん…」

「あのね。私たちクラスメイトが見る限りでは、2年生になってからのあの2人は……」




2人は……?





「ずーっと1人でいた。カッシーも志月くんも……いつも1人でいた」