やがて春が来るまでの、僕らの話。




「前に……杉内くんに初めて会った日に、言われたんだ。男の人にお金もらってホテル行くの、いつか絶対後悔するよって」

「……」

「言われた時はイライラして、なんでそんなこと言われなきゃいけないのって思ったけど…」



悲しそうに膝の上で拳を握るハナエちゃんを、直視できない。



「でも杉内くんの言う通りだった。本当は自分でもわかってたの。あのときもう既に、後悔してたから…」

「……」

「それでも、どうやって生きていけばいいのかわからなくて…」



彼女の当時のイライラが俺にも伝染したかのように、今は俺がイライラしてる。



「後悔したって遅いのにね。その時についた体の汚れは、もう落ちないから」



ダメだ、まじでイライラする。


なんなんだよ、まじで……



「だから会うのが怖かった……柏木くんにも、若瀬くんにも。こんな私、会ったら幻滅されるんじゃないかって」

「……」

「汚くて、……体にも触れたくないんじゃないかって」



もう無理だった。


もうダメだった。


イライラが限界に達して、本気でもう無理だ。



「だから、」

「ちょっと黙って」

「、…」



言葉を遮り床から立ち上がった俺は、



「……律、くん?」




ソファーに乗ると同時に、彼女を強く抱きしめていた。