「律くん?」
「うん?」
「どしたの?座れば?」
「うん」
「って、なんか自分の家みたいだね、ごめん」
スーツのネクタイを緩めて、床に座り込む。
例えば今、俺が陽菜の話をしたら、ハナエちゃんはまた色んなことを思い出して悲しい気持ちになる。
例えば今、ハナエちゃんが陽菜の話をしたら、俺はまた色んなことを思い出して悲しい気持ちになる。
こんな風にお互いの悲しみを生んでしまう俺らが一緒にいることに、なんの意味があんだろう……
なにか意味はあんのかな……
「…ねぇ律くん」
考え続ける頭上から聞こえた声。
見上げたソファーの上には、俺のほうを見ないでクッションを抱えているハナエちゃんがいる。


