やがて春が来るまでの、僕らの話。




聞こえた声に顔を向けたら、彼女はさっきまでの俺と同じように窓の外を見ていた。



「なに?」



流れるように走る街のネオンに目を向けたまま、ハナエちゃんは言う。



「……みっちゃんがね、この前の飲み会のときに言ってくれたんだ」

「……」

「私とみっちゃんは女友達だよ、って」

「……」

「むっちもね、むっちって呼んでいいよって言ってくれた」

「うん?」



ハナエちゃんがなにを言いたいのか、俺には分からなかった。


カッシーとか志月なら、こんな時、なにが言いたいのかすぐに分かってやれるのかなって。


やっぱりみんなのことをなにも分かっていない自分に、本気でヘコみそうになる。



「私ね、女友達が2人もできたの」

「……」

「……陽菜、怒ってるかな」

「、…」




陽菜。


その名前に、やっぱり俺の傷もジワジワとえぐられるように蘇ってくる。



「女友達を作ったら、陽菜、泣いちゃうかな」

「、…」

「親友でいてくれないかな……」