やがて春が来るまでの、僕らの話。


【倉田side】




「ねぇ律くん、いいの?」


届いたビールを飲みながら、みっちゃんを挟んで向こうに座るカッシーが俺に言う。


「なにが?」

「ハナエのこと。律ちゃんのことだからなんも進展してないんでしょ?あいつ割と顔いいし、こんなとこで働いてたら客の男に呆気なく取られるかもよ」

「……」

「あら、倉田くんそうだったの!ダメよ、なにもしなかったらなにも伝わらないんだから!」



パスタ屋なのにオムライスを食ってる俺のスプーンが、見事に止まった。



「あいつ高校んときも志月くんに押されて付き合ってたし、押しまくったらコロっといけんじゃねぇ?」

「いや~ん羨ましい、志月ちゃんみたいなイケメンとどうやったら付き合えるのかしら~」

「押しまくったらって、」



カッシーの言葉にため息が出そうになったけど、よくよくその意味を考えてみたら言葉は途中で止まった。


え、待って。あの2人って……




「ハナエちゃん、押されて付き合ったの?」




待って、なにそれ。



「知らなかった?志月くんが強引に押しまくって付き合い始めたの」

「ハナエちゃんは、志月のこと好きじゃなかったってこと?」

「まぁ、そーなりますな」