やがて春が来るまでの、僕らの話。




「つーかもしかして今日って杉内休み?」

「うん、休みだよ」

「まじか、休憩行ってんのかと思ったら休みか」

「どうりで静かなはずね」

「光男が帰ればもっと静かなのにねぇ~」


真後ろから聞こえた柏木くんの声に、誰よりも早く振り向いたのはもちろんみっちゃん。


「いやぁ~ん、私と一緒に静かなところに行きたいって意味~?」

「はは、どんだけプラス思考だよみっちゃん」


スーツ姿の柏木くんは、隣のイスにカバンを置いてみっちゃんの隣にドカっと座った。


「なにか食べる?」

「ネギ玉牛肉パスタ」

「飲み物は?」

「ビール」

「ネギ玉牛肉パスタとビールね」

「なんか居酒屋風だね、カッシーが頼むものって」


柏木くんの注文を聞いて、カウンターを離れて厨房に伝えに向かった。


あの日から、靴が傷つけられることは今の所1度もない。


厳密に言うと、傷つけられないように靴も下駄箱じゃなくて自分のロッカーにしまうようにしたからなんだけど。


杉内くんに選んで貰った靴までボロボロになるのは悲しいし、何よりもあの時の嫌な気持ちをもう二度と味わいたくないから。