やがて春が来るまでの、僕らの話。



5月、初旬。



「ちょっとぉ~、ヒデトはまだぁ~?」

「ヒデトはさっき会社を出たそーです」

「んもう!なんで私じゃなくて倉田くんに連絡が行くのよ!」

「ヒデトは照れているのだと思います」

「いやん!ヒデトってば照れ屋さんなのねぇ~」


お店のカウンターにはみっちゃんと律くんが座っていて、合流予定の柏木くんをみっちゃんは今か今かと待っている。


5月の暖かい気候にお客さんの服装も色鮮やかになり始めたこの季節。


みっちゃんの服装は……一際鮮やか。



「あーん、もう私これ3杯目よー。ヒデトってばどんだけ私を酔わすつもりなのぉ~」

「みっちゃん今日お持ち帰りされんじゃね?」

「そうね、心の準備をしておこうかしら」


3杯目のモスコミュールをグッと飲み干したみっちゃんは、4杯目のお酒をバーテンダーさんに頼んでいる。