やがて春が来るまでの、僕らの話。




「ハナエちゃん、恋してる?」


突然の突拍子もない質問が、隣から聞こえた。


「なに、急に」

「いやなんとなく、もうすぐ夏じゃん?」

「まだ4月だよ?」

「だってほら、夏になったらさ、やっぱ花火大会とか祭りとか海とかバーベキューとか楽しいことっていっぱいあんじゃん?」

「うん」

「恋、してんのかなーって」

「恋、ねぇ」


そんな感情は大分前に忘れてしまったな。

恋って、なんだっけ。


「夏もだけど、花火大会もまだまだ先だよね」

「そんなことないって、絶対あっという間だから」

「うーん、そっか」

「あ、じゃあさ、せっかくだから一緒に行こうよ花火大会。休み取って」

「うん、いいね。行こう行こう」




飛び散った噴水の水が春風に乗って雨のように降ってきた時、世界がキラキラと輝いて見えた。


うわぁキレイ!って、隣ではしゃいでいたかと思えば噴水まで行って、見知らぬ子供たちと遊びだす杉内くんに笑ってしまう。


ハナエちゃんもおいでよーって聞こえたから、一緒になって子供たちと遊んだ。



杉内くんとの世界はキラキラ輝いていて。


同じ過去を共有していない彼だからこそ、私もなにも考えずに笑っていれて、


だからこそ私の知らないキレイなものを沢山沢山見せてくれる。


杉内くんの隣にいれるこの時が、きっと1番キレイな時間かもしれないって、



そんなことを思った、4月の暖かい午後だった。