やがて春が来るまでの、僕らの話。



「てかさー」

「うん?」

「武田さんじゃなくて、むっちでいいよ」

「え?」

「私もハナエって呼ぶからさ」



ね?って笑った武田さんは、もう1度あくびをしながら片づけを再開した。



「……」



私もみんなみたいに呼んでいいのかな?

むっちって、みんなと一緒に呼んでいい?



「……むっち」

「え、なに呼んだ?」

「あ、呼ぶ練習してただけ」

「あはは、なにそれ」




女友達が出来ること。

もしかしたら空の上で陽菜が怒っているかもしれないなって、そんなことを考えた。


だけどそれでも嬉しくて。


友達ができることが、やっぱりどうしたって嬉しくて。



ごめんね、陽菜。


裏切り者の親友を許してね。



ごめんね、陽菜……







「……ねー」



しゃがみ込んでテーブルを拭いている時、服の袖をグイグイと引っ張る男が1人。

柏木くんだ。