やがて春が来るまでの、僕らの話。



「……臭い」



ドアを開けると、荒れた部屋が飛び込んできた。

散らばる缶や瓶やお菓子の袋で部屋の中が大惨事。


ソファーを占領して寝ている武田さんと、床に雑魚寝の男性陣。

あれ、みっちゃんがいない。

そっか、朝から仕事って言ってたからもう行ったのかな。



雑魚寝の人たちを避けながら部屋の中へ進んで行くと、テーブルの上に大きな紙を見つけた。

その紙にはみっちゃんの大きな文字で、番号とIDが書いてある。



「仕事に行きます、みんないつでも電話してね。ヒデトは24時間OKよ(ハート)」の文字と一緒に。

堪えきれず笑ってしまった後、番号とIDを登録した。



「んー、……あれ、おはよー」

「あ、おはよう武田さん」


ソファーから起き上がった武田さんは、大きなあくびをしながら体を伸ばす。


「みっちゃんもう仕事行ったみたいだよ」

「あ、ほんとー?全然気づかなかったー……てか部屋、汚っ!」

「ね」

「取り合えず片づけますか」

「うん」



引き出しの中からゴミ袋を取り出して、仕訳けしながら片づけ始める。

雑魚寝の男性陣は唸り声を上げたり寝返りを打ったりしているけど、全然起きる気配がない。



「武田さん、これ中身入ってるけどどうしよう」

「捨てちゃっていんじゃない?どうせもう炭酸抜けちゃってるし誰も飲まないでしょ」

「そっか」