やがて春が来るまでの、僕らの話。



「みっちゃんね、実は美容師さんなの!」

「え、まじで?」

「そう、しかも結構な腕前なんだよ」

「あー、確かに美容関係ってそっち系の人多いな」

「ま、ここで知り合ったのも何かの縁だし、言ってくれれば髪ぐらいいつでも切ってあげるわよぉ~」

「まじで!それタダで!?」

「そうねぇ、恋人割はタダでもいいわよぉ?」


愛おしそうに見つめる先には、当たり前に柏木くん。


「……タダより怖い物はないってこういうことか」

「それを言うならタダより高い物はない、じゃね?」

「んもー、どっちにしても失礼ーー!」

「…、…く、…苦し…」

「南波くん、相当みっちゃんがツボなんだね」



みんなが楽しそうに笑っていて、私もすごく楽しい。


楽しくて楽しくて沢山笑って、その中にふと思い出すのは靴のこと。


考えたって仕方ないって分かってるけど、犯人が誰なのか、考えるとため息が出る。