やがて春が来るまでの、僕らの話。



杉内くんと入れ替わるようにキッチンに入って、棚からグラスを取り出した。

この家の食器はわかりづらい所にあるから、杉内くんが見つけれないのも無理ないなって。


そんなことを考えていたら……



「さっすがー、住み慣れてる感出てるー」

「うわっ、柏木くん」


いつの間にか横にいた柏木くんは、空いた自分のグラスに氷を入れている。


「そのまま一緒に住んでればよかったのに」

「え?」

「律くんとずっとここに住んでればよかったじゃん?って」


顔の赤い柏木くんは、多分酔ってる。


「お似合いだよー、君たち」

「なにそれ」

「もしかしてさぁ、あれなんじゃない?実は高校の時も律くんのこと好きだったとか」

「は?」

「あ、図星ってやつですか」



なに言ってるの、この男。



「柏木くん飲みすぎっ」

「あっ」



手の中から奪ったグラスが、滑って床へ落ちてしまった。

割れはしなかったけど、氷が散らばってしまって。



「ごめん、」



慌ててしゃがんで氷を集めていると、柏木くんもしゃがみ込んで1つの氷を拾ってくれた。



「ありがとう」




お礼を告げて顔を上げた時。



しゃがみ込んでいる彼の手が、私の頭に触れたと同時に引き寄せられて……





「………俺はお前が好きだったよ」






カラン…と、グラスの中の氷が溶けた。






好きだった?



柏木くんが、私を?




「……」

「あの、」



言いかけたタイミングで、柏木くんは立ち上がりみんなの元へ戻って行った。



「光男ー、俺のウーロンハイ作って」

「いやぁ~ん、やっぱり運命!?」

「よかったねみっちゃん!」

「ふはは、まじ俺みっちゃんの恋応援するわ」

「あら倉田くん、あなたでもいいのよぉ~?」

「え"、それはちょっと……」




みんなのところに戻らなきゃ。


早く戻らなきゃダメなのに。


でも、心臓のドキドキが止まらない。



全然、止まってくれない……