やがて春が来るまでの、僕らの話。



「そうなの、南波くんすっごくいい人なの。ね?」


ハナエちゃんに尋ねられ、南波くんは頷いた。


いや、自分でいい人って…。

なんか気が抜ける人だな。


「つーかこれ、南波くんが描いたの?」


路上に並べられている絵は、どれも個性的だけど目を引くものばかりだ。


「そうだよ、凄いでしょ!」

「なんで杉内が偉そうなんだよ」

「今度個展をするから見に来てくれたまえ」

「「「個展!?」」」



全員の声が重なった。

だって個展って……え、すごくない?



「本業はイラストレーターなの。でも路上で描くのも好きだからやめられない」

「まじで!?すご……」

「じゃあ個展みんなで見に行こうよ」

「うん、私も行きたい!」



世の中には凄い人がいるものだ。

俺には絶対出来ないようなこと、そういうのを仕事にしてる人って、なんか尊敬しちゃうな。


「律くん、南波くんに絵の描き方教えてもらえば?」


半笑いでバカにしたように俺を見る、杉内幸一郎。