やがて春が来るまでの、僕らの話。








「やっぱ土曜は人多いなー」

「ですね」


そんな呑気な会話をしながら、なんとなく街を歩いてく。


「どっか行きたい場所とかある?」

「うーん…」


杉内の店の近くだけど、あの店は夕方にならないと開かないからまだ早い。


「どうすっかなー」


いつもなら行き先を決めてから出かける俺だけど、楽しそうにウズウズしてるハナエちゃんを見てたら決める前に足は進んでた。

友達と出かけたりするの、もしかしたら高校でカッシー達と遊ぶ以来なのかなって。

もしそうならたくさん色んなとこに連れて行ってやりたいけど、まずはハナエちゃんの希望から責めて行こうってのが俺の考えなわけで。


「あ、そうだ。確かこの近くで南波くんが絵描いてるって言ってた」

「南波くん?」

「杉内くんのお店の裏って言ってたような…」


そういや昨日杉内もその名前を出してたっけ。

2人して出すその名前に、俺はなんだか興味津々。

すぐ近くにいるらしいから、とりあえず会いに行くことにした。