やがて春が来るまでの、僕らの話。



【倉田side】




「ねぇ、せっかく土曜なんだしどっか遊びに行く?」

「え!?」

「え、嫌っすか!?」


俺の提案に予想外の反応をされて、自称ナイーブな心はチクリと痛んだ。


「嫌じゃないです、全然、あの、嬉しいです」


すっかり敬語のままだけど、嫌じゃないって言葉が聞けたからまぁよしとしよう。


「あの、私、遊びに行くとか今まで全然なかったから、ほんとに嬉しいです!」

「……」

「ほんとにすごくっ、あ、敬語……えーと」


敬語になっていることに気付いたハナエちゃんは、俺に誤解を与えないよう、気合いを入れる様に拳を握って言い直した。



「ほんとにほんとに、すっごく嬉しい!」




……いい笑顔だった。

こんなにも可愛い笑顔を持っている子なのに。

この笑顔を奪ったのが陽菜だなんて思いたくはない。

だけどもし陽菜が生きていたら、彼女の笑顔がこんなにも長い間、7年間もの間、なくならずに済んでいたんじゃないかって。

陽菜を憎む訳じゃないけど、そう思わずにはいられなかった……



「よし、じゃあ準備すっか」

「はい!」

「敬語」

「あ…。」