やがて春が来るまでの、僕らの話。



私にケトルを預けた先輩は、寝癖頭のままリビングへ戻っていった。


残されたその場所で、お水を入れながら考える。

倉田先輩、コーヒーは濃いのが好きかな?

それとも濃いのは苦手かな。

ブラック派?それとも砂糖とか入れるかな?


う~ん、どっちだろう……


「あ、ミルクと砂糖1個ずつ入れてねー」


リビングから聞こえた声。

ミルクと砂糖1個ずつ。

了解しました。






「どうぞ」

「お、ありがと」


床に座り新聞を読んでいる姿が見えたから、邪魔しないようにテーブルの上にコーヒーを置いた。

コーヒーをひと口飲んだ先輩は、そのまま新聞を読み続けている。


「……」


あの。

あの……

気になるんですけど。


あのっ!


「濃いですか!?薄いですか!?」


前のめりになるくらい勢いをつけたその質問に、先輩は驚くように目を丸くした。

そのまま数秒間固まった丸い目は、次第に形を緩めていく。