やがて春が来るまでの、僕らの話。



こればっかりは譲れない。

確かに広いベッドで寝たかったけど、今は状況が違いすぎる。


「俺仕事で疲れたからもう寝るわ。そういう訳で、じゃあおやすみ」

「え」


バタン…


先手必勝。

先輩は寝室じゃないもう1つの部屋に入ってしまった。


「しまった…」


居候の分際でベッドで寝るなんて。

私一体、何様なんだろう……。










翌日。


「あ、おはよう」

「おはようございます」


ほぼ同時に起きた私たちは、朝8時、リビングで落ち合った。

寝癖頭にグレーのパーカーを着ている先輩は、真っ直ぐキッチンへ向かっていく。


「コーヒー飲む?」

「私が淹れます!」


すかさずキッチンへ行くと、先輩が持っているケトルを奪った。


「え、なに」

「私淹れるので、倉田先輩は仕事の準備でもしてください」


居候なんだから、せめてコーヒーぐらい私が淹れなきゃ。


「ありがとう、でも今日仕事休みなんだよね」

「え」


あ、今日土曜日。


「あの、じゃ、じゃあどうぞごゆっくりしてて下さい」

「うん、サンキュ」