こればっかりは譲れない。
確かに広いベッドで寝たかったけど、今は状況が違いすぎる。
「俺仕事で疲れたからもう寝るわ。そういう訳で、じゃあおやすみ」
「え」
バタン…
先手必勝。
先輩は寝室じゃないもう1つの部屋に入ってしまった。
「しまった…」
居候の分際でベッドで寝るなんて。
私一体、何様なんだろう……。
・
・
・
翌日。
「あ、おはよう」
「おはようございます」
ほぼ同時に起きた私たちは、朝8時、リビングで落ち合った。
寝癖頭にグレーのパーカーを着ている先輩は、真っ直ぐキッチンへ向かっていく。
「コーヒー飲む?」
「私が淹れます!」
すかさずキッチンへ行くと、先輩が持っているケトルを奪った。
「え、なに」
「私淹れるので、倉田先輩は仕事の準備でもしてください」
居候なんだから、せめてコーヒーぐらい私が淹れなきゃ。
「ありがとう、でも今日仕事休みなんだよね」
「え」
あ、今日土曜日。
「あの、じゃ、じゃあどうぞごゆっくりしてて下さい」
「うん、サンキュ」


