やがて春が来るまでの、僕らの話。



「…え?」


当たり前の返事が返ってきた。

付き合ってるカップルみたいな俺の発言に、当たり前に不思議そうな顔してる。


「杉内に聞いた。男の人にお金貰ってんだって?」

「、…」


気まずそうに顔を伏せてしまったハナエちゃんは、なにも答えてくれない。

時計の針が進む音が、静かな部屋に大きく響く。


「……ハナエちゃん?」


針の音が三十秒ほど動いた時、彼女はやっと口を開いた。


「無職で……家を借りるにも、保証人になってくれる人もいなくて」


ポツリと言ったその声に、一つ小さく息を吐く。


「うん、じゃあここに住んでいいから、まずは仕事を見つけよう?」

「………」

「仕事を見つけてお金溜まったら、俺が家借りる時の保証人になるから。だから男の人にはもう頼らないで、頑張ろう?」


顔を伏せたまま、ハナエちゃんはまた黙り込んだ。

俺の提案が嫌なのか、鬱陶しいと思っているのか。


だけど、そうだとしても……


「大丈夫、絶対見つかるから。俺も一緒に探すから」

「、…」

「大丈夫。ハナエちゃんはもう、一人じゃないから」


「っ……」



俯いている視線の先に、ポタっと一粒涙が落ちたのが見えた。