やがて春が来るまでの、僕らの話。



「さっき南波くんも言ってた。お客さんの中にもそういう若い子が多いって。みんな悩み抱えてるよーって」


誰だよ南波くん。

つーかまじで?

申し訳ないけど俺、そういう女の子無理。


「え、律くん?ちょっ……」


ズカズカと足を進ませて、カウンターに座る彼女の元に向かった。

ハナエちゃんは隣の男と話しをしている最中で、そこを目掛けて突進していく。


「この裏の通りでいっつも絵を描いてんの」

「毎日?」

「んー、たまにいない日もあるけど、ほぼ毎日かな」


そんな会話に割り込むように、俺はイスに座る彼女の腕をガシッと掴んだ。

突然腕を掴まれ驚くその目に、苛立ちが隠せないのはさっき杉内に聞いた話のせい。

だって体売ってるって、高校生の頃のハナエちゃんを知っているせいか、あんまりにも悲惨な現実すぎる。

こんなの、どうしたって許せねぇ。


「あの…?」

「行こう」

「え、どこ、」


グイッと引っ張りイスから立たせ、そのまま店の出口に向かう。

慌てるように上着と鞄を持った彼女は、隣の男に慌てる様に言った。


「あの、今日は本当にありがとうっ」

「うん、またね」