やがて春が来るまでの、僕らの話。


【杉内side】




「どう思う?あの二人」


金曜なのに割と暇だから、奥に座る二人を見て南波くんに尋ねてみた。


「どうって?」

「なんか二人共超気まずそうだったじゃん」

「うん、確かに」

「ただの高校の後輩、って感じじゃなくない?」

「元カノとか?」

「あー、そっち系?」

「でもあの感じじゃいい別れ方ではなかったかもね」


そう言ったあと、南波くんは届いたぺペロンチーノを口いっぱいに含んだ。


「いいの?」

「なにが?」

「え、だって南波くんてハナエちゃんの彼氏なんでしょ?」

「いんや、ちげーぞ」

「え、違うの?おみくじ見つかったときめっちゃ喜んでたから、てっきり彼氏かと思ってた」

「さっき知り合ったばっかり。おみくじ探すの手伝ってただけ」

「は、まじで?南波くんどんだけいい奴なの」


地球上にこんなにいい人間が存在するんだって、なんか感動しちゃったよ、俺。


「杉内くんはハナエちゃんとどういう関係なの?」

「俺は昨日知り合った。怪しいナンパ男について行きそうだったから、無理矢理この店に連れて来たの」


俺の話を聞いた南波くんは、目の前でふふって笑った。


「杉内くんだっていい奴じゃん」



なんとなくいい奴同士、生ぬるい空気が流れてる。


南波くんとはこれから仲良くなれそうだなって、

なんとなくだけど、そんな風に感じてた。