やがて春が来るまでの、僕らの話。




「ほい、できた」


製作時間、わずか三十秒。

彼は画用紙をビリビリ破き、それを私に渡した。


受け取った紙を見てみると、鮮やかな色で染められたどこか不思議な絵が描かれている。

その絵の横には遊び心のある文字で、でかでかとこう書かれていた。




『キセキって言葉は、キセキが起こるからあるんだよ』



「、…」




その言葉は、弱気になっていた私の胸にスッと届いた。

どうしてかはわからないけど、折れかけていた気持ちが立ち上がった気がした。



「なんば、えいた?」


絵の端に、そう書いてある。


「名前、南波栄太(なんばえいた)。その絵、君にあげる」

「……」

「だからキセキ、探しに行くよ!」




こうして私は、まったく知り合いでもなんでもない南波栄太と共に、再びおみくじを探し始めた。

何度も何度も探した場所を、彼は同じように何度も何度も探してくれる。


ホコリまみれになって、土に汚れて服も汚して。

それでも何時間も探してくれる。

何時間も何時間も、夜になってもずっとずっと探してくれた。