やがて春が来るまでの、僕らの話。




歩道の端にしゃがみ込み、出たがっている涙を隠すように顔を伏せた。



陽菜……


陽菜、ごめんね。



なくしちゃったよ、


私、陽菜に貰った大吉を、


どこかになくしてしまったよ……



どうしよう、もうダメだ。


この場所からも動けない。


大吉がないと、どうやって立ち上がればいいのかもわからない……




「大丈夫?」



沢山の人が流れる歩道の中で、声が届いた。

私に向けられているようなその感覚に、そっと顔を上げてみる。


目を伏せていた暗闇から急に明るくなった視界は、少しだけぼやけるように歪んでる。

ゆらゆらとぼやける視界の中に見えたのは、冬の風になびく茶色い髪の毛。


誰…?



「なんか探し物?」

「え?」

「あ、俺さっきまでそこのカフェでコーヒー飲んでたんだけど、なんか必死に探してるっぽいのが見えて、気になっちゃった」


彼は眉を少し下げて、苦笑混じりにそう言った。

そっか、それで声かけてくれたのか……