やがて春が来るまでの、僕らの話。



目が覚めた。

流れる涙と共に、目が覚めた。



「…………夢」



今でも時々見る、十五歳の頃の夢。

温かい布団の中でも真夏の猛暑の日でも、あの頃の夢は決まって真冬で。

雪が降るあの町で、寒い寒いって言いながらみんなで過ごす、幸せで悲しすぎる夢。



「……陽菜」



苦しくなる。

夢を見た後は、決まって胸が痛くて苦しくて張り裂けそうになる。

そんな時にいつも握りしめるのは、鞄の中のおみくじだ。

陽菜に貰った大吉は、あの日から私の心の安定剤になっているから……



「……あれ?」


だけどそれがないことに気付いたのは、日が昇り始めた朝方だった。


「…ない」


鞄の中を隅から隅まで探しても、中身を全部取り出しても見つからない。


なんで?

どこかに落とした?



急いで漫喫を出て、昨日歩いた全ての場所を探し回った。

記憶を辿って、恥じらいも捨てて、ごみ箱の中まで漁って探した。


だってあれがないと生きていけない。

陽菜に貰った大吉がないと、私は生きていけないよ。


どうしよう、

見つからなかったらどうしよう……


陽菜、どうしよう……