やがて春が来るまでの、僕らの話。


【杉内side】




「………」


彼女が店を出て行ったあと、俺はしばらくドアを見ていた。

なんか不思議な子だったなって。

なんであの子をこの店に連れて来たんだろうって。

自分の行動が謎すぎて、ちょっと怖い。



キィー…


ドアを見ていると、お客さんが来店して扉が開いた。



「いらっしゃいませ……ってなんだ、律くんか」

「あー、まじ疲れた、残業半端ない……」

「お疲れ様、エリートサラリーマン」


さっきまであの子が座っていた席に腰かけたのは、俺の友達の倉田律くん。

出会ったのは律くんが大学二年で、俺が専門一年の時だ。


きっかけは居酒屋のトイレだった。

個室で俺が激しくリバースして苦しんでるとき、助けてくれたのがたまたま同じトイレにいた律くんで。

全くの見ず知らずの俺たちだったけど、酔っ払い同士なぜか意気投合。

今じゃ俺らはマブダチで、律くんはこの店の常連客だ。



マブダチ……



だけど。