やがて春が来るまでの、僕らの話。



「悪いと思わないの?」

「……」

「いいことしてるって、言える?」


なに、説教?


「お金が欲しい私とお金を払ってでもホテルに行きたい男、誰も損してないんだから別にいいじゃん」


グラスを拭いていた手が、急に止まった。


今度は私が男を見れない。

後ろめたい気持ちを隠しきれないから、見ることができない。


「それでもきっと、いつか後悔するよ」

「………」

「絶対に」


言われた言葉は胸にズキっと突き刺さった。

彼の真っ直ぐな目と言葉は、きっと私と違って全然汚れていない証拠だ。


とてもじゃないけど居られない。

こんなに真っ直ぐな人の傍には、居られない……



「……帰ります」



鞄と上着を持って、逃げるように店を出た。



「またいつでも来てねー」



その言葉を背に聞きながら……