ピッ

「…は」




ぼーっと考え事をしていた俺は、ジャガイモの皮をむいていた手に違和感を覚えた。




ぴっ?


何かわからないけど、ジャガイモの皮じゃない物を切った感覚がした。




「い、いいいいいい伊吹!!!!ちちちち血が!!!わわわわ」




俺の手から包丁を奪い、瑛茉は水道の蛇口をひねった。




「あ、俺…切ったんだ」


「そんなに深くなさそう…ちょっと痛いけど我慢してね」


「は」




ジャー


「…っ」




瑛茉にされるがまま、血が出た指を水で洗われる。



もちろんズキズキとした痛みは伴うわけで、俺は顔をしかめた。




「痛い?」


「痛い」


「うーん、でも我慢してとしか言えないなぁ」