「伊吹やっぱりすごいね。なんでもできちゃうじゃん…ちょっと指示しただけで完璧だよ」




瑛茉は俺が切った人参を一欠片つまんでそう言った。




こいつは人に甘いんだよ、否定しないでなんでも褒める。


まあそれもいい所なんだけど。




「ニンジンくらいさすがに切れるわ…」




ここまでできないと思われてたなんて、複雑な気持ちになる。


一応義務教育は修了してるし、調理実習程度なら料理だってしたことある。



まあ、家で包丁を握った記憶は一切ないけど。




専業主婦の母はいつも家にいるから、ご飯を自分で作ろうと思ったことは無い。


それに、父さんも母さんもいない日はコンビニで済ませるか、瑛茉が作りに来てくれるから。




…我ながら甘やかされてるな。