「瑛茉ー?伊吹くん来たよー」 「はーい!」 (どこも変なところないよね?大丈夫だよね?) 私は姿見の前でぐるっと回って全身をくまなくチェックする。 髪よし、メイクよし、浴衣よし。 (うん、大丈夫!) ガチャ 「…お、お待たせしました」 「…ん」 勇気を振り絞って緊張で暴れ回る心臓を抑えて玄関を出る。 いつも通り、門によりかかる伊吹。 でも、今日は特別。 伊吹も紺色の浴衣をしっかり着こなして立っていた。