私をグイッと引っ張って抱き寄せる伊吹。




キュンとしてる場合じゃないのは分かってるんだけど、やっぱり私はバカだから心臓のドキドキが鳴り止まない。




どういう状況よ、これ…!




「へぇ〜、いいね君。おもしろいわ」




岳先輩はやっぱり楽しんでる。



私だけじゃなくて、伊吹まで…




「ねぇ、伊吹くん。──── 」




岳先輩が悪い笑顔を浮かべて伊吹に何かを耳打ちした。


当然、私は何も聞こえなくて。




「…あんた、まじでなんなの」




分かったことは、伊吹をからかうような事を言ったんだろうということだけ。




「ただの家庭教師、だよ?じゃあね瑛茉ちゃん。明日の夜ご飯はハンバーグが食べたいな」