「君に気付いてもらえないことが、何よりも辛かったんだ。君がもし、生まれ変われなくなったとして。そうしたら、俺は君の居ない世界をさ迷うだけになるのかと思ったら。そんなこと、俺は耐えられるのかな……」



語尾が少し震えた。

先輩は、頭を掻く。



「ごめんね。君にとって、俺は初対面の奴なのに、気持ち悪いこと言って。いつだって、俺の自己満足で、君には関係の無いことだったのに──」

「関係無いなんて、言わないで……ください」



私の知らない、遥か昔からの私を知ってくれている人。

私を見守ってくれていた人。

不思議で、有り得ない話に決まっていると思いたいのに、今はそう思えない。

それ以上、言葉も思い浮かばなくなった私に、先輩はやっぱり優しく微笑んだ。



「余計に疲れさせて、ごめん。家まで送るから、ちゃんと帰ろう」

「……はい」