そのあともいなくなった女の子の方向をぼんやりと見つめる。
「入らないの?」
「わーっ!」
驚いた勢いで尻餅をつく。
痛ったあ。
後ろを向くと、リュックを背負った柳瀬くんが私を見下ろしていた。
「あ、入ります入ります。」
わたしはいつもどおり奥の椅子に座る。
バックから読みかけの恋愛小説を出す。
……聞いても、いいのかな?
今から1時間ずっとモヤモヤするくらいならチャッチャと聞いてしまった方がいいよね。
「あのさぁ、今ー。告られてた?」
頑張って歯を食いしばりながら柳瀬くんに聞く。
「さあね」
「え?」
なにも表情を変えずにそういう柳瀬くん。
「告られたよ」
私を見た後に少し笑いながらいう柳瀬くん。
「付き合うの?」
あの女の子の様子をみていた私ならわかるけど、一応、流れ的に聞いておく。
「しらない」



