「だったら、試してみればいい。俺、絶対、佐山に俺のこと好きにさせてみせるから」

俺が、どれだけ佐山を思ってたか、知らないだろ。
そんな簡単に諦められるくらいなら、とっくに他の女と付き合ってる。

「無理! 私は好きじゃない人とは付き合わないの」

佐山は、きっぱりとそう言い放った。

まったく……
俺は、そういう流されないところも好きなんだ。

目の前の佐山の頭を、空いてる右手でわしゃわしゃと撫でる。

「くくっ
佐山ならそう言うと思った。なら、俺はそのままの佐山を振り向かせてみせるから、覚悟しとけよ?」

言いたいことを言えた俺は、満足して、くしゃくしゃにしてしまった佐山の髪を撫で付ける。


 そして、そのまま踵を返し、何事もなかったかのように、また片付けに戻った。


 なんで佐山じゃなきゃダメなんだろうって思う。寄ってくる女たちの中から選べれば、簡単なのに。

 だけど、人が人を好きになるのに理由なんてないんだと思う。俺が佐山を選んだのは、ただ単に、佐山が佐山だったから。それ以上でもそれ以下でもない。

 そして、佐山を選んで、思いを告げた以上、もう後戻りはできない。何が何でも、佐山を振り向かせて見せる。

 そして、いつか、俺の選んだ指輪をその指に贈れる日が訪れるよう、全力で彼女に向き合おう!



─── Fin. ───




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本編『私はあいつを絶対に好きにならない』をまだお読みでない方は、そちらもお読みいただけると嬉しいです。