私の部屋に入ると 奏斗は 

もう一度 私を抱き締める。

「葉月。ごめん。葉月…」


私は 力が抜けて 奏斗に 寄り掛かる。

「葉月…」

奏斗は 私を抱き締めたまま キスをした。


熱く 長いキスは 私の心を乱して。

この三日間の 不安が 胸に押し寄せて。

荒い呼吸の中 私の目から 涙が流れる。


ふと頬に 雫を感じて 薄く目を開けると

私の唇を 塞いだまま 奏斗も 涙を流していた。


お願い… これ以上 私の心を 乱さないで。


私は 静かに 奏斗の唇を外す。

「コーヒー淹れるね。」

そっと 奏斗の腕を 逃れようとするけど。

奏斗は 私の腰を 抱いたまま

私と一緒に 移動してきた。


「大丈夫よ。逃げないから…」

私は クスッと笑って 奏斗に ソファを勧める。

「違うよ。葉月と 離れたくないんだ。一瞬も…」


私だって 奏斗と 離れたくない。

今も すごく嬉しくて…


奏斗が 私を 探してくれたことが。

奏斗に 抱き締められることも。

奏斗の キスも。


でも やっぱり駄目…


また 同じことを 繰り返す。


こんなに 好きだからこそ

私は 奏斗と 別れなければいけない。