「ふ、ははっ、お前ってほんと最高」
空腹のあまりお腹をおさえて、涙目になる私。
真弓はなぜか楽しそうに笑って。
「この状況で腹減るか? のんきっつーか、危機感ねえっつーか、……期待裏切んねえな」
「なにか言った?」
「いーや、別に?」
軽く肩をすくめながら、真弓が入ってきた隠し通路の方へと向かっていく。
あわててその背中を追うと、真弓が首だけ私の方へもたげて。
「ちとせ、なに食いたい?」
「えっ」
「ちょうど飯にしようと思ってた。せっかくだから、好きなもん選ばせてやる」
「いいの?」
「こんなトコにいるんだ。美味い飯でも食わねえとやってけねーだろ」
“美味い飯” の、ワードに私の目はわかりやすく輝く。
ごはん、大好き。
食べるの、大好き。
でも、選べって言われてもそんな急に……、あ。
「ねえねっ、真弓! 私あれ食べてみたいの! お寿司!」
「寿司?」
「うんっ。聞いたことあるんだよね、レールの上をお寿司がくるくる回るレストランがあるって!」
「……回転寿司?」
「そう、それっ!」
こくん、と頷く。
うわさに聞いたことがある。
お寿司が乗ったお皿がくるくる回っているんだって。
見たことないけれど、どんなのだろう。
なんだか、楽しそうだよね。
「行ってみたいの! だめっ?」
真弓の目をじっと見上げて手を合わせると。
真弓はちょっと困惑した様子。
「お前、そんなのでいいのかよ」
「え、どうして?」
「回転寿司の寿司って、ちとせが今まで食ってきた寿司より断然ふつうだと思うけど。たぶん」
「なんでっ? ふつうじゃないよ、だって回るんでしょ?」
「回るけど」



