これを恋と呼ぶのなら


 唇が離れて目を開けると、ぼうっと熱を帯びた瞳が一心に私を見ていた。

「好きだ」

 再びゆずにキスをされた。

 二度三度、角度を変えながら甘く唇を吸われ、気持ちがふわふわと浮き立った。

 頭の芯が痺れてどこか朦朧となる。

 よろけて足元がふらつくと、彼の手が私の腰に添えられて、力強く支えてくれる。

 チュ、とリップ音を鳴らして熱い口付けが止んだ。

 ゆずが口角を上げてフッと笑った。

「すげぇ威力」

「………え」

「やっぱ本命とのキスは違うな」

 突如として、きゅんと胸の奥が締め付けられる。

 全身が熱くて、今もなお触れているゆずの手に意識が向くと、照れくさいやら嬉しいやらがごちゃ混ぜになって私を甘く酔わせた。

 耐えきれず、真っ赤な顔で俯いた。

「凛恋?」

 初めて見る、男の表情(かお)をしたゆずが、私の目を覗き込んでくる。

 私は目を合わせられずに視線を泳がせた。

 心臓がバクバクと落ち着かなくて、獣のように暴れまわっている。

「逃げんなよ」

 呟きと同時に、顎をクイっと持ち上げられる。

 私は何とも言えない表情で戸惑っていたのかもしれない。

 視界に映る彼が、若干滲んだ涙でぼやけて見えた。

 顔はきっとゆでダコ状態でのぼせ上がっているに違いない。

「その表情(かお)、……たまんねぇ。すげぇ可愛い」

 切なげに眉を寄せる彼を見て、有無を言わさずまた唇を奪われた。

 強引にギュッと抱きすくめられる。

 三度目のキスはのっけから濃厚で、私は彼から受ける深い愛情に、ただただ身を震わせた。


 ーーー終わり。