人混みの隙間をくぐり抜け、教室へ身を放る。
スマホを黒板の方に向けているクラスメイトが目に入り、私もその方向を見ると。
「……ん?」
複数枚の写真らしきもの。
黒板の中央に堂々と、ハート型に並べて貼り付けられている。
え、なに?
今どきこういうことする人いるの?
と思ってその写真に近づけば。
「!!!」
目を疑った。
男女ふたりが親密な雰囲気でどこかのホテルに入っていこうとする瞬間を捉えた写真。
スクープとかでよくある黒線で、顔はモザイクされているけど。
これはどこからどう見ても明らかに、
「愛莉と、しょーくん……!?」
そのふたりだ。
「なに、これ……」
これは、私の声ではなかった。
振り返れば、
絶望的な表情で立ちすくんでいる、
愛莉。
はっとした。
心の中にある何かが、弾けた気がした。
そこからはもう、衝動だった。
勝手に動く足。
振りかざす手。
爆発した感情。
バンッ!!!!!!

