まだ5時前だというのに、天を覆う巨大な雲のおかげで辺りは薄暗い。
さらに遠くでカア、カア、とカラスが鳴くもんだから、より一層、不気味な空気が漂っている。
「ここ、夜になったら怖くない?」
「確かに、女の子ひとりだと危ないかも」
「そらくんも不審者には気をつけてねっ」
「……うん」
そんな感じで歩いていたらあっという間に、来た覚えのあるバス停に着いた。
「そういえばそらくん、この町のこと中途半端って言ってたけど、あれどういう意味?」
「それは……」
「あ、」
そらくんが口を開いたとき、向こうからバスがやってくるのが見えた。
「……まあ、そのうちね」
「えー、そう言われると気になっちゃう〜」
そんな私たちを急かすように、プシュー、とバスの扉の開く音がする。
「ほら、バス来たよ。気をつけて」
「あっ、もー……じゃあ、そのうち教えてね!」
にこりと優しく微笑んで、こくりと軽く頷いて。

