「え、え?そらくんはいいの?」
「俺は我慢してるの!」
「えっ、な、なんかごめんね?長居しちゃって迷惑だったよね……」
「あー違う、そうじゃなくて!」
「へ?ち、違うの??」
「うあ~!もう、何でもない!」
と叫んで頭をガシガシ掻きむしるそらくん。
どうやら我慢しているみたい。
な、なんなんだ、一体……。
私も混乱中だけど、彼のこういう姿はかなりレアだから、しっかりこの目に焼き付けておこうっと。
そう思ってじっとしていたら、私の視線に気づいた彼はなぜか顔を真っ赤にして、ふい、とそっぽを向く。
「……バス停まで、送る」
ぼそり、とつぶやいて、そそくさと家を出る準備を始めた。
外はすっかり冷え込んでいた。
「寒いねーっ」
「うん」
感嘆の声をあげれば、目の前が白くなる。
その見える息はしたたか寒さを強調しているみたいだ。

