背中に布の感触がして、それはカーテンで、つまりそれはこれ以上、後退できないことを意味する。
なのにその長身は、歩むことをやめない。
そうして、両手を、伸ばして。
「そ、そらふぎゅっ」
私の顔面を、つぶした。
「……」
「……、」
むぎゅ、と両手ではさんで、
ぐいっ、と持ち上げて、
じいっ、と私を見下ろして。
「もっと警戒心、持って?」
そんな言葉を落とした。
「……へ?」
「いい?ひとり暮らしの男の家にあがったときは、そんな質問しないこと」
「どうひへ?」
「ずるい男は期待を込めて、寂しいって答えるから」
「な、なにほひはいふるの?」
「……慰め、とか」
なぐさめ?
ちょっと、意味がよくわからない。
するとそらくんは、はあ、と深いため息をつき、手を離す。
「とにかく、ハナは俺以外の男の家にのこのこ入っちゃだめだから」

