今まで壊れるのを恐れて、感情を押し込んでいたけれど。
それだと余計に気まずくなって、こうして何もできなくなってしまう。
完全に動けなくなる前の今なら、
こうして甘えてもいいって言ってくれる人がいるなら、
修復不可能な傷がつく前に、
私も一歩、前進しなきゃ。
しばらくして、そらくんが戻ってくる。
はい、と私の前に湯気の立つティーカップを置いた。
ありがとう、と返事をして、ズズッといれたての紅茶をすする。
渋くて、まろやかで、温かいその香りは、私の口いっぱいに広がって、喉を通り、胸の奥までしみた。
「落ち着いた?」
「うんっ。そらくんのいれてくれたおいしい紅茶のおかげで、もっと落ち着いた」
心の底からそう思って笑いかければ、彼はじっと私を見つめて。
「……」
「……?」
私の顔に何かついてるのかな、と思って首を傾げると、途端、ふっと顔を綻ばせる。
「やっぱり俺、笑ってるハナが好き」
「っ!」

