お弁当を食べ終わり、しばらくぼーっと宙を眺めていたら。
「変形、させたい」
「え?」
唐突に呟いたそらくんは、高い高い秋空を見上げていた。
変形? と尋ねると、顔は上げたまま目だけこちらに向けて、口を開く。
「今、この関係が、正方形だとしたら」
「……うん、」
私の脳内には、私としょーくんと愛莉とそらくんが浮かんで、それぞれ正方形の頂点に配置された。
「俺とハナの辺、もっと短くなればいい」
「へ?」
「そしたら変形するじゃん」
台形とかね、と言って、
また、この青空に視線をやって、
そして、眩しそうに、目を細めた。
白く透き通った肌の、頬だけ、そこだけ、
ほんのり、桃色に染まっていた。
ゆるめにカールしたうねり髪は、
漆黒で、とても、艶めいていた。
真っ直ぐなまつげも、切れ長の目も、
高い鼻も、潔くて、かっこよくて、
優しくて、その横顔は、
とても、綺麗だった。
「そらくん」
「ん?」
「明日も、ここに来ていい?」

