ひとりぼっちになった私は、あの教室に行くことが多くなった。
今日もこうして、ほこりっぽい空気の中、ひとりぼっちでお弁当箱を広げる。
「はあ……」
あれ以来、ここでしょーくんと鉢合わせすることはなかった。
その代わり、廊下ですれ違うたび別の女の子を連れてどこかへ行く姿をよく目にした。
『ハナは、優しい王子様じゃないしょーくんを目の当たりにしたから、もう嫌いになったの?』
そんなわけ、ないじゃん。
そう簡単にきらいになれたら、こうして愛莉とケンカしたりあんなに大泣きしたりしないよ。
もういっそのこと、好きなんて消えてしまえば、どんなにラクだろう。
窓の向こう側を眺めてそんなことをごちゃごちゃ考えていると。
ガラガラ…と扉の開く音を背中で聞いた。
「ハナ?」
「え……」
聞き覚えのある、優しい声。
振り返ればそこには、
長身の彼が立っていた。
「やっと見つけた」

