すっとそらくんが動いたと思ったら、フリーズ中の私の手を取る。


「俺の気持ちは、邪魔かもしれないね」


そう言って、大事なものをさわるようにふわりと、その両手の中に、私の右手を収める。


邪魔なんて。

そんなこと、私は1ミリも思ってないよ。


思うように動かないからだに無理やり力を入れて、小さく首を振る。


そらくんはまっすぐに、私の目を見ている。

ほんとに彼の目と私の目のあいだに直線が見えそうなくらい、まっすぐに。


「でも俺、少なくともあいつよりは、ハナを大切にできる」

「っ、」

「女遊びなんてしないし、いつでもハナのそばにいるし、どんなことがあってもハナを苦しめることはしない」

「……そらくんっ……」

「だから、ハナを苦しめるあいつなんてもう忘れて、」


ぎゅ、と力のこもる手。


それはあたたかくて、

やわらかくて、

やさしい。


そんなに、やさしくされたら、


「俺にしてよ」



泣きそうだよ。