「ははっ、くだらない」

「強がりな王子様〜」


こんなときくらい弱音吐けばいいのにぃ、と言いながら化粧を直し始める。


しばらくして、じゃあまたシようねぇ、と言い残し教室を出て行った。


しん、と沈黙が身を包む。


一気に、孤独と空虚感が、俺を羽交い締めにする。


はあ、とひとつため息がこぼれ、それを振り払うように教室から出ようとした、刹那。


カタン。

うしろ扉の方で、プラスチックのような物の落下音がした。



「……」

「……っ、……っ、」


耳を澄ませば、人間の息づかいが聞こえる。


まさか、他に人がいたとは。

手にかけていた扉の鍵を、再び閉める。


「……誰?」


机や椅子が積み重なって死角になっている箇所がいくつもあるこの教室。

それらをどかして、音源へと足を進める。


「え、」

「……ぁ、」



そこにいたのは。