「実は俺、愛莉のことが好きなんです」








私の中で、何かが弾けた。




ひゅーっ、とか、

きゃーっ、とか、

ぱちぱちぱち、とか、

じゃんじゃーん、とか、

どくんずきん、とか、

拍手と冷やかしとBGMと私の心音が、

ごちゃまぜになって耳をつんざく。



どうしてか、すべてがスローモーションだ。



「俺の彼女になってください」



不思議と、涙は出なかった。


きっと心のどこかで、

こうなることがわかっていたみたいだ。




ああ、痛いよ。

痛い痛い痛い。

やめて、やめて。



押し込めたはずの“ナニカ”が、


ここぞとばかりにうごめいて、暴れる。


なにこれ、ワカラナイ。

こんな感情、シラナイ。


この感情はきっと、私を狂わせる、



そう思ったから、気づかないふりをして、

目を閉じた。


目を、閉じた。