司会者はそんなふたりにマイクを向け、趣味だとか好きなタイプだとかインタビューを始めた。
たまに笑いを取るしょーくんのコメント。
おっとりした口調で癒やされる愛莉の声。
会場はどんどん、盛り上がる。
「それではスピーチタイムにしたいと思いまーす!何でもいいですよ!この場で気持ちをぶちまけましょ〜」
司会者はそう言って、愛莉へマイクを渡した。
「えっと、まさか選ばれるとは思ってもいなかったので全然考えていないのですが……」
少し緊張気味に話し始める愛莉へ、がんばれ〜、と観客からエールが投げられる。
私もそれに重ねて、がんばって、と手を振って。
気づいたかはわからないけど、一瞬ふっと微笑んだような感じがしたからきっと気づいたんだ。
「ありがとうございます。実行委員のみなさんも、投票してくれたみなさんも、今この場にいるみなさんも、本当にありがとうございます。すごく楽しい思い出ができて、感謝でいっぱいです」

