本当だった。
『そらは、私を選んでくれなかった』
夏の終わりに愛莉が言っていたのは、紛れもない真実なんだ。
さすが愛莉、そらくんのこと何でもわかっちゃうな、と思った。
同時に、あんなにも愛莉の愛情は大きいのにどうして届かないの、とも。
むず痒い感情が私の心でじわっと微動する。
焦らすように、それはそれは小さく震える。
そんな歯痒い気持ちと彼と共にしばらく待って、やっと解放された愛莉がやって来て、一緒に掃除を終えて。
後夜祭の会場である体育館へ、足を踏み入れた。
「では!ミス&ミスター、ご登壇〜!」
じゃじゃーん、と明るいBGMが軽快に鳴り響き、舞台へ登場する二人。
キャーッ、という歓声がしょーくんに対する黄色い声と言うのなら、おおーっ、という声はきっと愛莉に対する青い声だ。
その声に応えるように、しょーくんは王子様スマイルでひらりと手を振る。
愛莉は少し はにかんだ笑顔で、ペコッと控えめにお辞儀する。

